9.ADA(障がいをもつアメリカ人法) The Americans with Disabilities Act

ADA(障がいをもつアメリカ人法)は、1990年7月に成立し、1992年1月より施行されているアメリカ合衆国法律です。

ADAは、「障害者の公民権法」ともいわれ、生活のあらゆる場面において障がいをもつ人ももたない人も社会参加の機会を平等に得ることを基本理念とし、障がいが理由で差別を受けることを禁止しようとするものです。

ADAの内容は、大きく4つの柱(雇用、交通運輸、民間や公共の施設・サービス、電話リレーサービス)からなります。特に交通や施設サービスについては、旅行において重要な事項といえます。

●公共交通機関などの公的サービス

長距離鉄道や地下鉄,長距離バスや路線バスなど事業者が運行する公共交通機関は、車いす使用者を含む障がいをもつ人が容易に利用できなければならないよう定めています。
なお、航空機に関しては、1990年に発効した「ADAの航空版」ともいえる航空アクセス法(ACAA)によって、バリアフリー化が進んでいます。

●民間の施設・サービス

不特定多数の人が利用するレストラン、ホテル、ショッピングセンター、テーマパークなどの娯楽施設、劇場、オフィスなどの施設では、障がいをもつ人が自由に出入りできないことや、サービスが制限されることが禁止されます。
ADAが制定される以前は、市役所や郵便局というような公共施設のアクセス(近づきやすさ)のみが保障されているにすぎませんでした。ADAによって一般市民が日常的に利用する民間の施設にも拡大されたことに意味があります。

ADA遵守のために、出入り口に段差があればスロープに改良するなど設備改善のため投資が必要となるため、企業の負担が必要となります。それを緩和するために改善実施までの猶予期間が設けられ、一部に免除規定もあります。

一方で、アメリカ合衆国では公民権法を基本に平等思想が広く浸透しており、企業の公共性や社会的責任も重要な要素となっており、ADA法に違反した場合の罰則や差別に対する提訴権が認められています。

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