第6章 食物アレルギーをお持ちのお客様

(1)食物アレルギーをお持ちのお客様とは

原因食物(アレルギー物質)を摂取することで、個人によって症状は異なるが、蕁麻疹や嘔吐・下痢・呼吸困難などといった発作を発します。 食品によっては、アナフィラキシーショックといわれる重度なアレルギー反応が発生し、命にかかわることもあり、発作が深刻な方は、緊急時に使用する「エピペン」と呼ばれる自己注射を携帯している場合があります。

症状は、摂取後すぐに発症する場合と数時間以上経ってから発症する場合と個人差があるようです。


(2)精神疾患や旅行参加がご不安なお客様への応対ポイントと留意点

  • 機内食や旅行中の食事にアレルギー物質が含まれている可能性があれば、それを除去または使用しない食事の提供が必要であり、その場でメニュー変更をすると時間がかかり行程に支障が出るため、事前にアレルギー対応食などへの変更の手配が必要です。
  • 機内食も含め、厳密な「アレルギー物質除去食」は提供できませんので、そのことを事前にご了承いただき、できれば出発までに医師に相談してもらいます。
  • ツアーに含まれるお食事のメニュー変更などは、追加の手配となり、また単なる「好き・嫌い」と区別するためにも手配手数料や実費が発生する場合は、ご負担いただくことをお客様にご了承いただきます。
  • 団体旅行の場合、その方だけに特別な食事を提供しますので、他のお客様へご説明させていただく場合もあることをあらかじめご了承いただきます。
  • エピペンや相当量の医薬品を持参している場合もある。税関での検査で薬品の内容について聞かれた場合に備えて英文の処方箋を準備する。
  • 添乗員や現地係員等はエピペン注射のお手伝いはできないことを予めお客様にご案内する。


◆宿泊施設において配慮する点

項 目

チェック内容

 

  • 食物アレルギー以外で、動物アレルギーをお持ちのお客様のご要望があれば、ベッドリネンを羽毛から羊毛に変更するなど必要な手配をする。


◆航空機を利用する際の留意点

場面

チェック内容

チェックインカウンター

  • お客様の特別な手配に関する予約を航空会社に早めに確認する。
    (特別食など)

機内

  • 同行添乗員は客室乗務員と特別な手配内容について確認をする。

到着空港

  • エピペンや相当量の医薬品を持参している場合もある。税関での検査で薬品の内容について聞かれた場合に備えて英文の処方箋を準備する。

その他

  • 現地旅行会社の係員と特別な手配内容について早めに確認をしておく。


◆船舶を利用する際の留意点

場面

チェック内容

宿泊を伴う場合

  • お客様の特別な手配に関する予約を船会社に早めに確認する。
    (特別食など)

諸外国へ行く場合

  • エピペンや相当量の医薬品を持参している場合もある。海外の場合は、税関検査で薬品の内容について聞かれた場合に備え、英文の薬剤証明書等の持参をあらかじめ勧めておくとよい。


(3)食物アレルギーをお持ちのお客様に起こりうる事故・トラブル

  • ホテル側の不注意で、食べてはいけないもの(このケースでは小麦粉)を食材に使ってしまった。 ホテルでは小麦粉は使わなかったが、ホテルが仕入れた食材のなかに小麦粉が混じっていた。 ホテル側に再確認するとともに、お客様に確認のうえ中和剤(この場合は重曹)などで対応することが考えられる。

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