(1)内部障がいのあるお客様、難病のお客様とは |
一口に内部障がいといっても、腎臓(消化器)、心臓(循環器)、肺臓(呼吸器)などの障がいの種類や程度はさまざまです。たとえば、透析をする方の場合は病院での透析なのか腹膜透析なのか、また、心臓に障がいのある方の場合、ペースメーカーを使用しているのか、薬の服用による治療だけなのか、呼吸器に障がいのある方の場合、酸素ボンベはどのようなものを利用するのか等、障がいの程度や症状により、医療対策や措置が異なります。
また、難病には進行性筋萎縮症、ベーチェット病、多発性硬化症など-般的には聞き慣れない病名のものが多くあります。病気について理解を深め、症状を具体的に正確に把握しておきましよう。
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(2)内部障がいのあるお客様への応対ポイントと留意点
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- 内部障がいのあるお客様は、外面上では状況を判断できないので、ご本人から正確な情報や医師の判断などを申告していただくように努めましょう。
- 病気に大きな不安を抱える一方で、旅行に対する希望も強いものです。症状を具体的にうかがいながらゆとりのあるプランをたてましよう。歩行に障がいのあるお客様と同様に、歩行距離や移動時間などお体に負担のかからないスケジュールを相談することです。
- ユングフラウヨッホ(スイス)、クスコ(ペルー)など、標高の高い地域を移動するようなコースでは、心臓や肺に障がいをもっているお客様には特に医師の判断など慎重な対応が必要です。
- 腎臓や消化器機能に障がいのあるお客様には特に食事に配慮が必要です。
- 旅行中、症状に変化が現れることも考えられます。その際に必要な医療機器(酸素ボンベ、人工呼吸器、オストミー、ネフライザーなど)や医療措置(服薬、検診、食事制限など)をうかがって、日頃、介助されている方かいらっしゃれば、その方にも旅行プランに参加していただきましよう。
- 旅行には介助者が同行されるか否かを確認することも大切で、緊急時には介護に慣れた方が必要です。
- 酸素ボンベや人工呼吸器、酸素濃縮器といった医療機器を航空機内で使用する場合には、事前に航空会社への診断書の提出が必要となります。(参照:ハートフルシート「手配篇」)
なお、米国路線など一部の路線では、日本の酸素ボンベを持ち込むことができないので、航空会社へ酸素ボンベのレンタルを依頼し、現地滞在中の酸素ボンベは別途手配する必要があります。
- 吸引器や血圧計などの医療機器は、診断書の提出は必要ありませんが、事前に航空会社への連絡が必要です。
- 透析液や医療機器・医薬品などを機内持ち込みにあたり、英文の処方箋や成分表、証明書が必要になることがあるので、準備をする。
- 痛み止めや向精神薬には麻薬に識別されるものもあり、海外旅行の場合は申請が必要な場合があるので、事前に確認をする。(参照:ハートフルシート「手配篇」)
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◆宿泊施設において配慮する点
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項 目 |
チェック内容 |
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- 透析液や酸素ボンベなど配送を依頼している場合には、到着を確認した上で、お客様のお部屋に届けてもらうよう依頼する。
- 食事制限など特別な手配をしている場合は、依頼内容について確認をする。
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◆航空機を利用する際の留意点
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場面 |
チェック内容 |
チェックインカウンター |
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お客様の特別な手配に関する予約を航空会社に早めに確認する。
(特別食、座席の指定、機内用車いすなど)
- 特別に注意すべき事項について確認する。
医療用電子機器(人工呼吸器など)を機内で必要とする場合や、腹膜透析を機内で行う場合、インスリンを機内持ち込みされる場合など
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保安検査場・CIQ(出国審査・税関・検疫)手続 |
- 心臓ペースメーカーをつけているお客様が保安検査を通過される際には係員へ申告してもらうよう注意する。
- 透析液や医療機器・医薬品などを機内持ち込むにあたり、英文の処方箋や成分表、証明書が必要になることがあるので、準備をする。※
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機内 |
- 同行添乗員は客室乗務員と特別な手配内容について確認をし、医療機器のご使用なども含めお客様のコンディションを連絡する。
- トランジットで途中待機となる場合には機内に留まるのか、待合室に行くのかをお客様に早めにお知らせする。
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到着空港 |
- お客様の中には抗てんかん薬・インスリンなどの医薬品を相当量持参している場合もある。税関検査で薬品の内容について聞かれる場合に備えて、英文の処方箋等を準備する。※
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その他 |
- 現地旅行会社の係員とは特別な手配内容(食事の配慮など)について早めに確認をしておく。
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※国際線利用時のみ
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◆船舶を利用する際の留意点
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場面 |
チェック内容 |
出発前 |
- 特別に注意すべき事項について、船会社に確認をする。
(医療器具を使用する場合、事前に英文診断書の提出が必要なことがある。)
- お客様の特別な手配に関して、船会社に早めに依頼をする。
(特別食、腹膜透析を船内で行う場合などなど)
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船内 |
- 心臓ベースメーカーをつけているお客様が保安検査を通過される際には係員へ申告してもらうよう注意する。
- 透析液や医療機器・医薬品などを船内に持ち込むにあたり、英文の処方箋や成分表、証明書が必要になることがあるので、準備をする。※
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その他 |
- 同行添乗員は、船会社の乗務員と特別な手配内容(特別食、腹膜透析を船内で行うなど)について確認をしておく。
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※国際線利用時のみ
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(3) Q&A
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Q. |
ハワイへ人工透析の方が旅行することはできますか? |
A. |
ホノルルには日本人の透析旅行者を受け入れている透析センターがあり、日本語で予約や依頼ができるコーディネーターもある。透析費用は個人負担となるが、国内の保険(社会保障・国民健康保険)の還付が受けられる場合もある。 |
Q. |
透析患者を対象にハワイ透析ツアーを募集したい。注意する点は? |
A. |
(1)現地の透析クリニック予約 (2)食事の内容 (3)透析費用の保険の還付手続き (4) 海外旅行保険の条件説明 |
Q. |
人工呼吸器をつけた方のアメリカ旅行で、旅行保険のうち適用外となるのは? |
A. |
個々の保険会社によって引き受け条件が異なりますので、個別に相談・確認が必要。若干の追加保険料で既往症に対応できる場合もある。 |
Q. |
腹膜透析の方の海外旅行。留意点は? |
A. |
旅行中の透析液をどうするか。全量持参する場合はかなりの分量となるので、事前に航空会社への相談・確認が必要。また、海外旅行の場合は、透析液の英文説明書(処方箋)の用意を勧める。 また、現地滞在ホテルに配達を依頼する場合は、ホテルに事前に説明が必要 |
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